よくある質問 (Q&A)
1.建築物の立体地震応答解析プログラム STERA_3D
よくある質問 (Q&A)
Q01 | 建物の基礎は固定ですか? |
基礎階(BF)において何も入力されていなければ、基礎は固定です。 部材をクリックして、基礎ばり(B1)と基礎ばね(S1)を入れることができます。 基礎ばね(S1)は初期値はピン支持ですが、アイコンをクリックして鉛直ばねにすることもできます。詳しくはユーザーマニュアルをご覧ください。 |
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Q02 | 静的漸増解析の目標変形角を変更することができますか? |
メニューから「オプション」>「解析条件」>「静的解析」を選択してください。以下のように、静的な水平力を正負繰り返しのサイクルで与えるとします。 それぞれの加力セグメント(折れ線)における建物最上階の目標変形角を与えます。 この場合は、セグメントの数は6です。 D1 … 50 (1/200) セグメントの数が1の場合は、単調漸増載荷解析となります。最大セグメント数と1セグメントあたりの解析ステップ数を入力します。ここでは、解析ステップ数を100とします(多くすれば精度はあがります)。 静的解析における目標変形角のプルダウンメニューで「Cyclic」を選択します。 |
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Q03 | 静的解析の水平力分布を変更することができますか? |
初期解析をします。 すると、inputフォルダに水平力分布のファイル"load_distribution.txt"が作成されます。 このファイルの数値を指定の分布に書き換えます。たとえば7階に集中荷重を加えたい場合には、以下のように書き換えて、新しいファイル名で保存します。なお、数値は分布の比率なので絶対値には意味はありません。 メニューから「オプション」>「解析条件」>「静的解析」を選択して 水平力の高さ分布を指定「データ入力」をクリックして、作成したファイルを読み込みます。 静的解析における分布のプルダウンメニューで「7 User defined」を選択します。 |
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Q04 | 床の質量分布を変更することができますか? |
初期値では床の各節点に床重量が自動的に分配されます。 以下の骨組では、中央に柱はありませんが、柱位置に重量が配分されるため、解析をすると梁の中央が自重によりたわんで、塑性ヒンジ(3D図の黄色いマーク)が発生しています。 こうした事態を避けるために、床の重量分布を以下の手順で変更します。 初期解析をすると、inputフォルダに重量分布のファイル"weight_distribution.txt"が作成されます。 赤字で囲んだ部分が、中央の柱位置の節点の重量の値です。この値をゼロにして、その分の重量を他の節点に振り分けます。変更したファイルを新しいファイル名で保存します。 メニューから「オプション」>「建物一般」を選択し、節点の質量配分において「節点ごとに指定」を選んで、「データ入力」をクリックし、作成したファイルを読み込みます。 |
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Q05 | 建物の規模が大きすぎて解析できません。どうすればよいですか? |
例として、サンプル建物の中から 「鉄筋コンクリート造50階建て超高層建物立体モデル」B03_50F_RC_H_3D.stera を開いてみます。実は、この建物は自由度が多すぎて、解析できずにプログラムが停止してしまいます。そこで、自由度を減らすことにします。 メニューから「オプション」>「建物一般」を選択します。解析を1方向に限定すれば、それ以外の自由度を拘束することで、全体の自由度を減らすことができます。 X方向のみの解析では拘束自由度番号を2467とします。つまり、2(Y方向水平自由度), 4(X軸周りの回転自由度), 6(Z軸周りの回転自由度)および7(X軸周りのせん断変形自由度)を拘束します。 今度は、プログラムが停止せずに、解析でできることを確認してください。 |
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Q06 | 1つの部材に梁と壁の両方を割り当てることはできますか?どちらか一方しか割り当てられないようです。 |
RC壁を設定した場合、自動的に梁は剛とみなされます。しかし、パッシブ制振部材や組積造壁、鉄骨ブレースを選択した場合は、下図のように上の梁の種類番号を設定することができます(詳しくはユーザーマニュアルを参照ください)。 |
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Q07 | 鉄とコンクリートのヤング率はどこで入力しますか? |
メニューから「オプション」>「部材」を選択します。 鉄のヤング率はここで入力します。初期値は205です。 コンクリートのヤング率は、コンクリート強度Fcの値から次式で計算されます。 ここに、はコンクリートの単位体積重量で、23(kN/m3)とします。 |
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Q08 | 鉄筋コンクリート壁の剛性低下率はいくつですか? |
鉄筋コンクリート壁は、ひび割れが容易に発生し、急激にせん断剛性が低下します。以下の図は、実験結果に基づいて、せん断剛性低下率βと水平変形角R/1000の平均的な関係を示したものです(日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」による。) せん断剛性低下率を考慮しないと、地震力のほとんどを壁が負担するため、構造計算では、あらかじめ剛性低下率を考慮することが一般的です。STERA_3Dでは、RC壁のオプション画面において、剛性低下率の初期値としてβ=0.2を採用しています。 |
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Q09 | 鉄筋コンクリート梁のスラブ効果はいくつですか? |
鉄筋コンクリート梁と床スラブが一体に施工されている場合、梁の曲げに床スラブが抵抗して、剛性や耐力が増加することが知られています。通常は、梁の断面をT型の形状とみなして、梁長さの0.1倍分のスラブ幅を梁の両側に考慮します。 STERA_3Dでは、RC梁のオプション画面において、スラブ寄与率の初期値として0.1を採用しています。 |
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Q10 | 鉄骨梁のスラブ効果はいくつですか? |
鉄骨造の建物では、鉄骨梁と鉄筋コンクリートの床スラブをスタッドボルトで接合します。このとき、鉄骨梁の曲げ剛性(EI)は、床スラブの影響により増加すると考えられます。 STERA_3Dでは、鉄骨梁のオプション画面において、スラブによる曲げ剛性増加率の初期値として1.2を採用しています。
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Q11 | 他のプログラムと固有周期が違うのですが、どうしてですか? |
いくつか原因が考えられます。 1)鉄筋コンクリート壁の剛性低下率の影響 Q08「鉄筋コンクリート壁の剛性低下率はいくつですか?」に記載したように、壁のせん断剛性の初期値は、弾性剛性に剛性低下率(初期値0.2)を掛けた値です。従って、他のプログラムが弾性剛性を用いている場合は、STERA_3Dの壁オプション画面で、剛性低下率を1.0にしてみてください。 2)鉄筋コンクリート梁のスラブ効果の影響 Q09「鉄筋コンクリート梁のスラブ効果はいくつですか?」に記載したように、梁の曲げ剛性の初期値は、T型の断面としてスラブの寄与率(初期値0.1)を考慮した値です。従って、他のプログラムが梁のみの弾性剛性を用いている場合は、STERA_3Dの梁オプション画面で、スラブ寄与率を0.0にしてみてください。 3)鉄骨梁のスラブ効果の影響 Q10「鉄骨梁のスラブ効果はいくつですか?」に記載したように、梁の曲げ剛性の初期値は、梁のみの曲げ剛性に、スラブによる曲げ剛性の増加率(初期値1.2)を乗じた値です。従って、他のプログラムが梁のみの弾性剛性を用いている場合は、STERA_3Dの梁オプション画面で、曲げ剛性増加率を1.0にしてみてください。 |
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Q12 | 鉄筋コンクリート梁の中央と端の配筋が異なります。どちらを入力すればよいですか? |
中央ではなく、材端の配筋を入力してください。 鉄筋コンクリート梁は、材端に非線形曲げばねを有する線材としてモデル化されており、曲げばねの復元力特性は、材端の配筋に基づいて決定されます。また、左右の材端で配筋が異なる場合は、どちらか一方(あるいは平均)の配筋を入力してください。 |
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Q13 | 吹抜け部分の床(スラブ)を取り除くことはできますか? |
初期設定では、床スラブは面内変形に対して剛(剛床仮定)です。床を除いたり、床の面内変形を考慮したい場合には、「オプション」>「部材」メニューにおいて、弾性床を選択してください。 プラン入力画面において、床スラブの番号(F1, F2, ..., F100)をセットします。床を取り除きたいときには、下図の赤丸のように、床スラブの位置をクリックして番号をなしにします。 |
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Q14 | 鉄筋コンクリート梁の曲げとせん断の復元力特性はどのような履歴形状ですか? |
1)鉄筋コンクリート梁の曲げ復元力特性 塑性化による剛性低下とスリップ性状を考慮したモデルを用いています。ひび割れ後の履歴形状は、降伏までの戻り剛性は最大点指向型のです。降伏点以降の履歴形状は、以下の3つパラメータで制御されます。 ・R1: 剛性低下率(降伏後の戻り剛性比、パラメータα)(初期値0.5) ・R2: スリップ剛性比(パラメータβ)(初期値0.0) ・Kp/Ky:降伏後の剛性kpと降伏点の割線剛性kyとの比率(パラメータη)(初期値0.001) 詳しくは、テクニカルマニュアルをご覧ください。 パラメータの値は、梁のオプションメニューで変更できます。 2)鉄筋コンクリート梁のせん断復元力特性 履歴形状は、原点指向型です。本来は、降伏後の剛性は負の値とすべきですが、数値解析の安定性を確保するために、初期剛性の0.001倍の正の剛性を与えています。 |
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Q15 | 地震応答解析の時間刻みはいくつですか? |
地震動の加速度データの時間刻みΔtをさらに再分割した値が地震応答解析の時間刻みです。 オプション>解析条件>動的解析の「動的解析オプション」画面において、再分割数の初期値を5としています。たとえば、加速度データの時間刻みが0.02秒の場合は、解析の時間刻みは0.02/5 = 0.004秒となります。 |
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Q16 | 地震応答解析の数値積分法はどのような方法ですか? |
陰解法である「平均加速度法(Newmarkのβ法、β=0.25)」と陽解法である「Operator Splitting法」があります。 初期設定は「平均加速度法」ですが、流体ダンパーや座屈履歴を用いる場合には、自動的に「Operator Splitting法」に切り替わります。 「Operator Splitting法」の場合、安定した解を得るためには、解析の時間刻みを十分に小さくする点に注意が必要です。 |
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Q17 | 地震動波形のデータ数に制限はありますか? |
データ数の制限は60000です。 なお、バージョン10.5から、Q15で説明した再分割数を増やしても、入力波形のデータ数の制限値は影響を受けなくなりました。 |
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Q18 | パッシブ制振部材のエネルギー応答は評価できますか? |
たとえば、サンプル建物の"B01_04F_SC_H"(4階建て鉄骨造建物、鋼材ダンパー)を"El Centro 1940_NS"波形を入力して解析すると、出力ファイルとして、"response_energy.txt" が得られます。 "response_energy.txt" の時刻歴波形の図では、以下の順番でエネルギー応答が足しあわされています。 Damp : 粘性減衰による吸収エネルギー つまり、パッシブ制振部材のみのエネルギー応答は、"Damp"から"Base_Iso"を引き算した値となります。グラフにすると |
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Q19 | 多質点系モデルをどのように作成しますか? |
以下の3つのケースがあります。 すべてのケースで、水平1方向のみ考えるので、「オプション」>「建物一般」で拘束自由度番号を「1(X方向)」をのぞく「2345678」とします。 Case 1: 各層のせん断変形のみを考慮する場合(多質点せん断系モデル) この場合は、ダンパー要素(または免震要素)を使います。 「オプション」>「部材」でダンパー考慮を選択します。 各層にダンパーを1つずつ配置します。 スパンは解析結果に影響しないので、適当な数値を入れます。 Case 2: 各層の曲げ変形とせん断変形を考慮する場合(多質点曲げせん断系モデル) この場合は、柱の直接入力要素(またはCase 3の壁の直接要素)を使います。 「オプション」>「部材」で柱の「直接」を選択します。 各層に柱を1つずつ配置します。 スパンは解析結果に影響しないので、適当な数値を入れます。 Case 3: 骨組モデルから自動的に多質点系モデルを作成する場合(多質点曲げせん断系モデル) ユーザーマニュアルの「12 多質点系モデルの自動生成」に記載される方法で、作成します。この場合は、自動的に壁の直接要素が使われます。 なお、曲げばねの特性は、各層のモーメントMと回転角φの関係を等価なせん断力Fとせん断変形δの関係に置換している。ここに、hは層高さである。 |
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Q20 | 解析結果を出力する際に"Error in Shell Command"のエラーが出ます。 |
実行ファイルの"STERA_3D.exe"と"Response.exe"およびフォルダー"input"は、同じフォルダに入れてください。 |
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2.有限要素解析ソフトウェア STERA_FEM